HDD SRMとCMR書込方式について

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別記事でも書きましたが、HDDの記録方式について書いてみようと思います。

記録方式

大きく分けて2つの書込方式が存在します。

CMR方式

従来の記録方式となります。ある程度の高密度化はできるが、それ以上の高密度にする場合
プラッターの枚数を増やす方法しかなく、結局コスト高になってしまう。

※プラッターとは、HDD 内部に格納されている、磁性体を塗られたアルミニウムもしくは
 ガラスディスクの枚数を言う。下記の写真で見えてる銀色の板のことをいう。

このプラッターの上に、従来通りデータを配置して方式となります。
枯れた技術ではあるが、今までの方式の為、安定した状況で使う事が出来る反面
大容量化がプラッター枚数に依存する為、価格が高かったり重さが重かったりする。

SMR記録方式

最新の記録方式となります。図を作成したので、みて頂ければと思いますが、
1つのデータと近接するデータを半分重ねて書いて行き、微細な領域が読み込めるヘッドで
データを読み出して高密度化を図る。少ないプラッター数で大容量を実現出来る為、
コストが安く容量が大きいHDDを作る事が出来る。

方式をまとめると

方式特徴コスト容量
CMR従来の記録方式となるので安定度が高い反面、
高密度化しにくいので大容量化が難しい。
高い10TB程度まで
SMR高密度化出来る安い10TB以上のものも

各書込方式の動作について書いてく

では、どっちを買ったら良いかを考えて行くうえで、書込方式の動作の違いを書いて行く。

書込時の動作について

データを書く際、赤いセクターに書き込まれる。
CMRは、平たく書き込まれ、SMRは半分重なった状態で書込がされる。

データを読み込まれる場合

データを読み込む場合、赤い部分の単位で読み込んでいく。
SMRは、半分重なっている為、1つの単位の半分の微細な領域を読めるヘッドで読み込みを行って行く。

データ削除と更新の場合

データを削除やデータを更新された場合の挙動について
CMR方式は全く今までの流れと同じで、該当のデータを削除をマークして
未使用領域に設定するテーブルを更新するのみ。
更新の場合は、更新したデータをそのまま書き戻すか
サイズが大きくなった場合は、別の領域に書込ことで対応している。

SMR方式については、これがややこしく、いったん1ブロック256MBの固まりとして
キャッシュメモリーに切り出して別領域に書込して、インデックステーブルを更新するような動きをしている。
重なりを再現する為、仕様上しかたのない処理が入ってくることになります。

この点CMRでは、そのような動作は発生しない利点はあります。

SMR方式の欠点について

大容量・高密度・低価格のHDDという夢の様なHDDですが、
使い方によっては、落とし穴もあります。そこを紹介していきます。

上記で書いた通り、データ削除と更新でprocessが複雑である事を書きました。
その際、何が起こるのでしょうか?

下記図を見てください。キャッシュメモリーは無限ではないと言う事です。
SSDみたいに何GBも用意されている訳ではないので、1つのハードディスクを複数のユーザで
共有しているようなNAS用途で使う場合、書き込み時のオーバーヘッド問題がかなりの確率で発生します。

データは壊れることはないにせよ、仕事につかっているなら、仕事の効率が落ちるでしょうし
待ち時間が長くなってしまうので良いことではありません。

これが、SMR方式の最大の欠点という事になります。
ただ、今後は、HDDの領域に分けてCMR方式とSMR方式を共存させる技術が出たり
各社開発を進めて行っているので、あまり問題にならない可能性もあります。
ただ、2023年時点ではということで考えて頂ければと思います。

CMR方式とSMR方式どちらを買えばいいのか?

こういう事を最後気になると思います。
書込方式の違いにより、用途に応じて使い分ける必要があるように思います。

下記の表をご覧ください。

方式使用用途備考
CMRNAS等で複数ユーザでハードディスクを共有しているような
使い方をする場合はCMR方式を推奨したい。
また、PCでもRAID構造を組んでいる場合や
OS部分のCドライブの部分については、CMR方式がおすすめです。
ハードディスク障害時
サルベージするには、CMR方式の方がサルベージ率は高く難易度は、SMR方式より難易度は低い
SMRNASやRAID構成を組まないPCや、データが大きくランダムアクセスが
あまり発生しない、シーケンシャルデータ(動画データ)などの保存場所として
使う場合などは、SMRでも問題が発生しにくい為おすすめ。
大容量低価格の利点を生かすことが出来る。
ハードディスク障害時
サルベージはしにくく、取り出せるデータは少ない割に、サルベージ難易度が高い為、業者にはかなりの金額を請求されることになる。

・バックアップは必須。
・キャッシュ内のデータを全て処理が終わらないと
 ハードディスクアクセスが鳴り止まず
 途中でPCを落とすとデータ欠損の危険も。

各社の製品一覧

WD

サイズ容量WD RedWD Red ProWD BlueWD BlackWD Purople
3.5インチ1TB以下CMRCMRCMRCMRCMR
2~6TBSMRCMRSMR / CMRCMRCMR
8TBCMRCMRCMR
2.5インチ500GB以下CMRCMR
1TBCMRSMRSMR
2TBSMR

東芝

容量P300DT02DT02-VL200MQ04
6TBSMRSMRSMR
4TBSMRSMRSMR
2TBCMRCMR
1TBCMRCMR

Seagate

サイズ容量BarraCudaBarraCuda ProIronWolfIronWolf ProSkyHawk LiteSkyHawkSkyHawk AIFireCuda
3.5インチ20TBCMR
16TBCMRCMRCMR
14TBCMRCMRCMRCMR
12TBCMRCMRCMRCMR
10TBCMRCMRCMRCMR
8TBSMRCMRCMRCMRCMRCMR
6TBSMRCMRCMRCMRCMR
4TBSMRCMRCMRCMRSMR / CMR
3TBSMRCMR
2TBSMRCMRCMRSMRSMR / CMR
1TBCMRCMRSMRCMRCMR
500GBCMRCMR
2.5インチ5TBSMR
4TBSMR
3TBSMR
2TBSMRSMRSMR
1TBSMRSMRSMRSMR
500GBSMRSMRSMR

結論

同じ容量でCMRがあったら、CMRを買っておいた方がよい。
とはいえ、お財布と容量のトレードオフだと思っています。
NAS用途については、CMRを現時点としては推奨となります。

今後は、そのほかの書込方式も多々開発が進んでるようです。
下記のYouTubeが参考になると思います。
時間長いですが、ハードディスクの進化について、見て見ると面白いと思いました。

筆者が目をつけてるHDD

番外編ですが、筆者として今気になっているHDDがこれです。
8TBでCMR方式を採用したPC用HDDです。
この金額ならCMRでも手頃なので、今買うならこれかなと思っています。

参考になさってください。

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